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【柔道整復師向け】療養費支給申請の要となる「施術録」の書き方
- 2025.12.12
- お知らせ
【柔道整復師向け】療養費支給申請の要となる「施術録」
― 支給基準のポイントと記載の実例をわかりやすく解説 ―
柔道整復施術における療養費支給申請において、施術録は“申請の根拠”となる最重要書類です。
適切に整備されていない場合、支給保留・返戻・調査照会の対象となり、施術所の運営にも影響が及びます。
本記事では、社会保険研究所「療養費の支給基準」に基づき、
柔道整復師が必ず押さえるべき施術録の要点をまとめました。
▼ 施術録で必ず押さえるべき3つの柱
施術録の目的は以下の3点に集約されます:
- 受給資格の確認
- 外傷性負傷の認定
- 施術の妥当性と必要性の証明
1. 受給資格の確認
保険者番号・記号番号・氏名・有効期限・一部負担割合などを、
オンライン資格確認等で正確に都度確認する必要があります。
記載漏れの多い項目のため、特に注意が必要です。
2. 負傷の事実を明確に記載する
外傷性か否かを判断するうえで最重要の項目です。
① いつ(日時)
② どこで(場所)
③ どうして(受傷機転)
“突然痛くなった”“原因なし”の記載は健康保険施術の施術録としては不可。
第三者が読んで外傷性と判断できる具体性が必須です。
3. 負傷名・初検所見の整合性
腫脹、圧痛、可動域制限など、負傷メカニズムと一致した所見を記録します。
図示や左右差の明記も効果的です。
4. 経過・施術内容の記録
最も調査照会が多い項目です。
〇/〇(第1回目)
施術:アイシング15分、筋緩和操作、電気療法
指導:急性期のため安静を指示
経過:前回より圧痛軽減、可動域 △ → ○ へ改善
“漫然施術”を避けるため、前回比の変化の記載が必須です。
5. 一部負担金・窓口料金の正確な管理
支給基準では、一部負担金・特別料金・領収書の記載内容が一致している必要があります。
不一致は返戻や照会につながるため、施術録と領収書は必ず照合しましょう。
▼ 施術録の整理・保管
- 施術完結後 5年間保管
- 照会に速やかに対応できる状態を維持
- 同一患者は初検年・部位を分けず 1冊で管理
▼ よくある質問(FAQ)
Q1. 施術録が不足していた場合、後から補記してよい?
A. 記録義務は「遅滞なく」。後日追記は原則避けるべきですが、
事実に基づく補記であれば可能。ただし日付整合性に注意が必要です。
Q2. 受傷原因が曖昧な時はどう書く?
A. “不明”とせず、患者から詳細に聴取。直前の動作・負荷など、
外傷性が推測できる内容を具体的に記録します。
Q3. 多部位施術の記録は?
A. 算定する全ての部位を記録し、治癒した部位も必ず追記。
逓減率の算定に必要となります。
Q4. 長期施術理由の記録は?
A.症状の自覚だけでなく、他覚的(医学的)所見も加えて、長期施術の必要性を限定的かつ具体的にご記入。
Q5. 一部負担金と自費施術料を混合した徴収の記録をしていたが問題ですか?
A. 問題です。
不正徴収と見なされる: 実際に徴収した額が、保険請求で報告する一部負担金の額と一致しないため、不正な徴収と見なされます。
重大なリスク: 負担割合や算定内容と一致しない徴収は、返戻、保険者からの指摘・指導、および税務調査の対象となる重大な問題です。施術録には保険請求の一部負担金のを記載し、領収証は必ず保険分、自費分が分かるよう「内訳」を記載しましょう。
▼ まとめ
施術録は、柔道整復師を守り、適正な療養費支給につなげる証拠資料です。
支給基準を理解し、日々の記録を正確に整備することが、
施術所の信頼性と運営安定につながります。
本記事はワールド保険協会が作成し、柔整施術所の皆さまへの周知を目的としています。



