2025年現在、柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の施術所を取り巻く制度や実務環境は、大きな転換点を迎えています。療養費制度の見直しや、マイナ保険証の活用、受領委任制度の厳格化など、日々の施術だけでなく、制度対応力も求められる時代となりました。
本記事では、現場の施術者が押さえておきたい「制度の今」と「対応のポイント」を分かりやすく整理します。
【1】療養費制度の現在地:2025年の変化と注目点
● 療養費請求の傾向
近年、療養費による施術の請求件数はやや減少傾向にあり、一方で自費施術や保険外併用の割合が増えつつあります。
この背景には、療養費制度に対する国の審査強化や、患者側の負担感の増大、説明責任の重要性が関係しています。
● 柔整・鍼灸・あん摩いずれも記録管理が厳格に
現金給付である療養費はあくまで療養の給付で果たすことのできない役割を補完するものです。療養費の支給要件により、施術録の記載義務、施術理由の明確化、頻回施術の妥当性の提示など、「なぜその施術を行うのか」説明できる体制が求められています。
特に、柔道整復の場合は10回以上の頻回施術が続くケースや、負傷部位・傷病名の整合性が取れない場合は、返戻や場合により面接確認や不支給のリスクが高まります。
【2】マイナ保険証対応とICT化の進展
● マイナ保険証:2025年の義務化の実務影響
医療機関・施術所でも、マイナ保険証(オンライン資格確認)の導入推奨が「事実上の義務」になりつつあります。
一部、医療機関では、医療費の診察受付に際してマイナ保険証による本人確認が標準化されてきました。
● 施術所でもマイナ保険証での資格確認対応が義務に。
- 患者様の健康保険証からマイナ資格確認での確認への移行 ※資格確認書の発行の遡及措置もございます。
【3】面接確認・個別指導への備え:今こそ記録と説明力を磨く
厚生労働省は、柔道整復・鍼灸・あん摩の各分野における不正請求・形式的記録への対策を強化しています。
今後も、施術者は別添の記載・整備事項をすべて反映した施術録を患者ごとに作成し、施術が完了した日から起算して5年間、適切に保管する義務があります。
2025年も引き続き、以下の観点での指導・返戻が発生する傾向にあります。
- 傷病名の記載不備(例:単に「腰痛」では不十分)
- 初検時の詳細記録がない
- 継続施術の根拠が不明
- 施術録と支給申請書の整合性欠如
逆にいえば、基本的な記録・説明をきちんと行っている施術所は、指導対応に強くなれます。
【4】制度を知る=患者を守るための姿勢
● 説明責任の重要性
制度が複雑化する中、患者さんに誠実でわかりやすい説明を行える施術者は信頼を得やすくなります。
療養費の対象でない施術には事前に説明と同意を得る、自費との線引きを明確にするなど、「透明性」選ばれる施術所のカギです。
● 自費移行も視野に入れた選択肢の提示
療養費対象の範囲を超える施術へのニーズが高まる中、柔軟な説明や選択肢の提供が求められています。
「療養費+α」の時代において、制度を理解した上での案内が重要となります。
【5】ワールド保険協会ができること
ワールド保険協会では、施術所の現場で働く皆さまが「本来の施術」に集中できるよう、次のようなサポートを行っています。
- 最新通知・法令改正の速報提供
- 実地指導対策や記録点検の支援
- 扱いやすいレセコンのご紹介
- 療養費に関するQ&A対応・事例共有
制度を知ることは、施術を守ること。
これからも、皆さまの現場の声に耳を傾けながら、変化の時代を一緒に歩んでいきます。
☑ まとめ
- 2025年、療養費制度はより厳密な運用に向かっている。
- 柔整・鍼灸・あん摩いずれも、記録の質と説明力が鍵。
- マイナ保険証などICT対応も不可欠なスキルに。
- 信頼される施術所には、制度対応力が必須。
- ワールド保険協会が皆さまをサポートします。